発音クラススタート
2008年、当時勤めていた語学学校では正式な発音クラスがありませんでした。きちんと発音を勉強したことがない生徒がほとんどで「発音記号って何ですか?」のレベル。日本人のカタカナ発音に慣れた先生と勉強していたためか、発音を重視している生徒はほとんどいませんでした。こういった現状を目の当たりにし「これはなんとかせなアカン」という想いが… とりあえず発音に興味がありそうな生徒を集め発音クラスを実験的にスタートさせました。
最初は発音記号をもとに、発音記号の読み方、口の形や舌の位置などを中心に指導。生徒の満足度も高く良いスタートを切れたのですが、自分の中では「なにかが違う…」といモヤモヤした想いだけが残りました。そのモヤモヤの原因は2007年に出逢った「英語喉」という発音教材にありました。「英語喉」は中々マニアックな教材なんですが、この教材との出逢いにより従来の発音指導方法(口の形や舌の位置に重きを置いた指導方法)に疑問を持つようになっていたのです。
そこで、抱えていたモヤモヤを払拭させるため、そして、私自身「英語喉」をものにしていなかったので、その練習も兼ねて「英語喉」のクラスを試しに始めてみました。しかし、生徒には全く受け入れてもらえず撃沈… 私の指導不足も手伝って「英語喉は難しい…」という印象だけを与えて終わってしまいました。
いくら自分が良いと思ったものでも、その重要性をしっかり伝え、感じてもらわなければ誰もついてこないことを実感。そして、私自身が「英語喉」を教えられるレベルにまだ達していないことがよく分かったので、ネット上にある英語喉著者の動画や英語喉実践者のブログ、音声等を参考に「英語喉」の勉強をやり直しました。
「英語喉」の指導に再チャレンジ
再度「英語喉」の指導を開始。努力の甲斐あってか「英語喉」を受け入れてくれる生徒が現れ、その後指導力の向上と共に着々と生徒が増え「英語喉」が支持されるようになって行きました。当時英語喉を指導させて頂いた生徒の音声。
ビフォー
アフター(3ヶ月後)
留学やインターンだからこそ気付けた発音記号と音節の重要性から
ヒップホップでブレイクスルー
英語喉での指導が波に乗ってきた頃、ある生徒からヒップホップの曲を使って英語喉の練習をしたいとリクエストを受けました。当時の私はヒップホップを全くと言っていいほど聞いたことがなかったので、1ヶ月ぐらいヒップホップを聞き込み猛練習しました。
すると驚いたことに、生徒の指導のために始めたヒップポップで、自分のリスニング力が劇的に向上していました。当時は、いつも英語に触れらるように家ではテレビやラジオを常時つけていたんですが、その時流れていたアニメの英語が、スッと自然に耳の中に入って来て「めっちゃはっきり聞こえるんやん!」と感動。私自身、アニメの英語の聞き取りが苦手だったんですが、ヒップホップで自然とシラブルの矯正ができていたためか、アニメの英語がポンポン耳に入ってくるようになっていました。
この体験でシラブルの重要性を痛感。それまで私は「英語喉」に出てくる3ビートという考え方で、シラブルの重要性をわかったつもりになっていました。しかし、実際には単にシラブルの構造を理解していただけで、シラブル本来?の重要性に全く気付いていませんでした。
シラブルの指導にシフト
こうしてシラブルの真の凄さを身を持って体感してしまったので「この凄さを早く誰かに伝えたい!」という欲求が抑えられなくなり、授業内容を思い切って「英語喉」から「シラブル」を中心としたものにシフトしました。
その結果、それまでは発音に興味がある生徒中心に支持されていたクラスが、そうでない生徒にも支持されるようになりました。その後、シラブルの重要性を頭だけなく、体感してもらえるような授業が提供できるように様々なアプローチを試し続け、気が付けばシラブルクラスは私が常勤していた学校だけではなく、姉妹校へ出張授業するまでの人気クラスとなっていました。
新たなる壁
シラブルクラスは出張授業するまでのクラスに成長しましたが、そこで新たな問題が発生しました。
「英語喉の3ビート(CVC)のアプローチは難しいし面倒。」「英語喉の喉の上下がよくわからないし正直難し過ぎる。」などのクレームを受けることに。これは私が英語喉を教え始めた当初に抱えていた問題でした。常勤していた学校で指導していた時は、生徒の留学期間が平均3ヶ月ぐらいはあり、指導する時間を十分取れていたので、この問題を解決することができました。
しかし、出張授業では1週間しか時間がなく、その期間内に理解し、体感し、これを続ければ伸びるという確信を持ってもらう必要がありました。しかも、普段のカリキュラム(フィリピン人講師とのマンツーマンレッスン1日6時間)をこなした上で。
語学は目に見えるような成長を感じづらいので「この方法で本当に伸びるのか?」と不安を抱えたまま練習しても中々続きません。その不安を払拭するため、重要性を理解してもらうだけでなく、体感し確信を持って練習してもらえる方法を模索する必要がありました。
難しいとクレームの多かった3ビートのアプローチ(特に初級者から)と、喉の上下のアプローチ(こちらはレベルに関係なく)は諦め、英語学習者全般に受け入れてもらえるように、できる限りシンプルで簡単な方法を模索しました。
出張授業では、初日の数コマの授業で重要性を理解、体感してもらい、残りの授業を全て練習にあてて、成長を実感してもらうことを目標に、試行錯誤しながら授業内容をブラッシュアップして行きました。
そして、シラブルは、点を打つだけというシンプルなものになり、発声は、呼吸・息の流れを意識するだけといったシンプルなものになりました。
ビフォー
アフター(3日後)
発声より
発声に関しては当初、その重要性を上手く伝えられず、それがずっと自分の中での課題でした。しかし、授業をこなしているうちに、シラブルに関連させて発声の重要性を伝えられるようになり、この課題を乗り越えることできました。
発音記号に関しては、発音の指導を通して、生徒が間違いやすい、勘違いしやすい記号を把握できるようになっていきました。最終的に、いくつもあって覚えにくいイメージのある英語の母音を、日本語の「あいうえお」をベースにシンプルに分類し、日本人にとって分かり易いものすることができました。
結果、「理解・体験・練習」をセットにした指導法が形になり、出張授業でもシラブルクラスの評価がさらに高まりました。そして、これが現在のオンラインで提供しているクラスの原形、流れとなっています。
↑こちらの生徒さんは、今では↓これが聞き取れるようになったそうです。
普通の発音クラスがシラブルクラスにまで進化できた大きな理由
それは「色々なアプローチを試しながら大量に教えることができた」これに尽きます。
なぜそれを実現できたかは、当時は授業を全て無料で提供していたからかと思います。無料で提供していたので、実験的に色々なアプローチを試すことができました。あと語学学校に勤めていたので生徒が途切れることもなく大量に教えることができました。同じ人を毎日指導することもできましたし、日本各地から来る生徒(地域によって発声などに特徴がある)を教えることもできました。
以上のようなことを経験できたので、指導力も自然と向上し、シラブルクラスを今の状態にまで進化させることができました。
スペシャルサンクス
英語の恩人、英語喉の上川一秋先生
伸び悩みを感じていた時に「英語喉」に出会い、英語が本当に楽しくなりました。英語喉との出会いがなければ、シラブルクラスは生まれていませんでした。
シラブルクラスの恩人、フィリピン留学でご協力頂いた生徒さんたち
奇妙なアプローチを色々試したにもかかわらず、文句も言わず快く実験台になってくれた生徒の皆さん。皆さんの協力がなかったら、シラブルクラスが今の状態まで進化することはありませんでした。
Webの恩人、スーパーコンシューマーや留学体験談ラジオなどを手掛けている中谷よしふみさん
Webだけでなく僕に足りないものを色々と気付かせてくれました。マッチングを重視した「欲しい人の元へ届ける」精神も叩き込んで頂きました。「面白いことを形にする」を体現されている中谷さんとの出会いがなければ、今のようなスタイルでシラブルを届けることができませんでした。中谷さんはWebだけでなく、人生の恩人でもあり本当に感謝しています。